Photo Walk 体験会 Report (中台コース)

みんなで階段を登って殻を破ろう!

2021年1月24日(日)のPhoto Walk Vol.1 に先立ち、ND2フォトグラファーが特別に招待した10名の皆様に、実際にND2のフォトウォークを体験していただきました。この記事では、3〜4人ずつに分かれて歩いた3コースのうち、私が案内した 中台コース の様子を、参加者の皆さんの作品とともに紹介します。

内村コースケ:ND2 Photographer

Photo : Kenji Nakamura

ND2 studioは、東京都板橋区中台2丁目の事務所からスタートしました(現在は江東区大島に移転しています)。「ND2」の名称はNakadai 2-chomeの頭文字と、ND2フィルターをかけています。中台は、メジャーな土地ではありません。知る人ぞ知る東京ディープスポットと言っていいで しょう。ND2フィルターも−1EVの効果しかないのですから、非常にデリケートなアイテムです。

そして、私たちはむしろ、中台やND2フィルターのようにディープでデリケートであることを誇りにしています。メジャーで分かりやすいものばかり追っていては、深みのある作品を生み出すことはできないでしょう。私はそれこそが、真のプロ意識だと思います。

Photo : Ryugo Kaga

さて、今回中台を歩いた3人は、そんな「真のプロ意識」を持ち合わせた方々です。皆さんカメラマンとしてはアマチュアですが、中途半端な名だけのプロカメラマンよりも、よっぽど深い「ND2精神」をお持ちです。

期待した通り、階段と坂道に囲まれた中台という土地の深淵さに3人とも瞬時に気づいたようです。私がサジェスチョンをする必要はまったくなく、序盤から土地が放つデリケートな表情に反応し、軽やかに、時には重々しく、そして魂を込めてシャッターを切っておられました。

Photo : Kosuke Uchimura
Photo : Kenji Nakamura
Photo : Kenji Nakamura

実は、事前に周囲の人たちにフォトウォークの構想を話した際に、「他の人と一緒に写真 を撮るのは気が進まない」という声もありました。私も写真撮影は本質的にはソロワークだと思っていますので、その気持はよーく分かります。ただ、他のカメ ラマンが撮影している様子を見るのはとても勉強になりますし、それ以上に自分の撮影する姿をさらけ出すことにより、殻を打ち破るきっかけになるのではない か。私はそう考えて、フォトウォークの企画を立案しました。

写真においても、自分の殻を破らないことには前には進めません。今の自分が撮っている 写真が究極的に完成されたものだというのなら別ですが、さすがにそこまで思い上がった写真家はいないでしょう。延々と続く中台の階段のように、一つのピー クを超えたら終わりではありません。高みにたどり着くたびに、次の階段を探し、新たな坂道を登らなければいけない。その道は、生半可な勾配ではないかもし れません。自分の殻だけに頑固に閉じこもっていては、なかなか先に進めないでしょう。他の人と一緒に撮り歩くことで、ちょっとしたきっかけを得て突破口が 開く。そんなことを、私は35年の写真人生で何度も経験しています。

Photo : Rikiya Kawada
Photo : Rikiya Kawada
Photo : Rikiya Kawada

それから、土地の人と話すこともスナップ・フォトでは大切なことだと思います。口下手 な私などはつい、避けてしまいがちなのですが・・・。特に、SNS全盛の今は、「人」を撮ることによってさまざまなデリケートな問題が生じています。だか らこそ、誤解や齟齬が生じないよう、スナップをするステージにいる人々とコミュニケーションを取ることがますます大事になっています。

私が知る限り、板橋で出会う人たちはとても温かく、郷土愛にあふれた方が多いです。人 の出入りが激しい東京23区の中では、とても珍しいと思います。崖っぷちにある中台2丁目公園で出会ったおじさんも、板橋のフォトジェニックなスポットを 色々と教えてくれ、モノマネや手品を披露してくれました。

Photo : Kenji Nakamura

ND2のフォトウォークでは、2時間弱撮り歩いた後、スタジオに戻って撮影した作品の 講評(鑑賞)会を行います。他のコースを歩いた人たちも一緒に、大型モニターに撮影データを映し出して感想を言い合います。ここでのキモは、自分の作品を よく見せようなどと思わず、失敗カットも含め「撮って出し」で今日の全てをさらけ出すこと。これもまた、自分の殻を打ち破るきっかけになるでしょう。

実際、こんな感想をいただきました。

「自分は最近、(オールド)レンズの試写・写りの比較という形でしか写真撮影をしてこなかった。今回は久々にしっかり『写真』と向き合え、大きな刺激になりました」

「失敗写真を含め『全部見せる』という観賞会のスタイルは新鮮だし、とても良い気づきがありました」

Photo : Toshiaki Tsuchiya

また、こんな嬉しい感想もありました。

案内役が適度な距離感で接してくれたので、撮りやすかった。かといって要所要所での案内はしっかりしてくれたので、ちょうど

写真家は孤独です。でも、たまに仲間と一緒に撮り歩く写真家は、さらに孤高の存在になれるでしょう。